コンセプト

7つの設計コンセプト

  1. 自然と共生・共存できる家

    人間の生活は自然界のオキテ(摂理)に寄り添って、うまく付き合うことだと考えています。
    日々の暮らしの中で自然の美しさや豊かさ、心地よさを感じることができ、そして自然と共存、共生している生活はとても美しいものです。光や風をうまく取入れ、周りの環境とも調和している、内外が一体感のある家は、私たちが求めている理想の家(=環境)と考えています。
    私たちはまだ自然界のオキテ(摂理)など、その全てを知りえませんが、自然と調和した生き方やナチュラルな生活・住環境こそが健康への原点だと思います。

  2. 家も庭も一体で設計する

    自然と調和した家にするには、外の庭のしつらえは欠かせません。「家庭」という言葉があるよう家族の最小限の生活の場として、「家」と「庭」の二つを切り離すとこはできません。
    私たちは家よりもむしろ、外の庭との関係性が一番大切な要素として捉えていますので、いつも庭まで一体で計画しております。そのことによって四季の移ろいが感じられ、調和した住環境を形成できます。

  3. 木にはこだわりたい

    誰でも普通に造れる木の家。でも実のところうまく造られていないのも木の家、木造なのです。
    木の良さ(グレードやコスト)を知り、それらを活かした木の使い方(適材適所)は専門家でも中々難しいものです。木の家は容易に柱の取替えや修復ができ、メンテナンスやリフォームも容易にできますし、時代の変化や家族構成に伴って、住み方も変えられるという一つの木の家のメリットでもあります。昔、屋根や軒・庇など木でしつらえられた美しい建築は日本の伝統文化の技術でもありました。
    2020年東京オリンピックのメインスタジアムである新国立競技場の設計には、その日本の建築文化が活かされており、建築家・隈研吾さんの提案では「木が大切なテーマ」でした。観客や選手を迎えてくれる「屋根や軒」・「長期間施設を維持保存させる」というメンテナンス対応にも大きな課題として、木の素材を重要な位置付けとされていました。
    私たちはこれまで多くの木造建築を経験し、木の家を多数デザインしてきました。柱1本1本吟味しながら加工においては継ぎ手や仕口を考慮しております。また木材も出来る限り地元の木(九州産)を用いることで、家を長持ちさせることができます。これからも木の素材を生かし、木にこだわった質の高い住宅を造りたいと考えています。

  4. 開口部を大切に考える

    開口部である窓の役割は、内と外をつなぐ部位でもあるのでとても重要です。また庭との関係性から「開く・閉じる」など、最適な位置やサイズそしてバランスが美しく納まっていなければなりません。性能が重視された既成のアルミサッシを付ければ簡単ですが、それではいい家にはならないと考えています。南側は木の窓で大きく開け、光の入り方や通風、そして熱ロスや気密性まで細心の注意をはらって設計をしたいと思っております。

  5. 家の基本はパッシブソーラー《そよ風》

    自然エネルギーである太陽熱を利用した、空気集熱式パッシブソーラー《そよ風》を取入れることで、室内の開放的な空間構成も可能で、どこに居ても一定温度を保ちながら、一年中快適で心地良い暮らしが可能となります。
    高齢化が進んでいる現在では、ヒートショックで倒れる事故も増加しています。部屋と部屋との温度差を極力均一にすることによって事故を防止できるのです。
    そよ風は屋根で集熱した空気を基礎のコンクリートに蓄熱させると言った、建築の有効的なしくみと、暮らしの中にちょっとした工夫をすることで、省エネや環境負荷の低減もできます。
    最近の住宅は電気や設備に頼りすぎており、少し過剰すぎる!と思っているところです。
    私たちはこの《そよ風》を設計の基本と考えて活動しています。

  6. 自然素材と空気質にもこだわる

    家の素材には出来るだけ自然素材を用い、産地も地元のものが良いと思っています。内装材には木や土、草や紙など自然の風合いが感じられ呼吸するものが良く、傷や汚れが付いても時間の経過とともに味わいが増します。また《そよ風》との相性も良く、換気や気密性と言った相互の温熱環境の側面でも、自然素材は室内の空気まで変えてくれます。結果、室内は居心地が良くて落ち着けるようになります。目に見えない空気のデザインを心がけて行きたいと思います。

  7. メンテナンスにも配慮した設計

    昨今、空き家の増加に伴い、古民家再生やリノベーションなどの個々の価値感も様々となっておりますが、これからは、新しいものをどんどん「造る」と言う時代から「護(まも)る」時代へと、建築のあり方も変わってきつつあります。せっかくいい家を造っても、お手入れが良くなければ台無しですし、なかには手遅れということもありえます。
    私たちはこれまでの経験を元に、新しく光触媒技術を建築に応用した「そらピュール」を新しく商品化いたしました。外部の汚れやすい白壁や木部など、自然素材のお手入れは少し面倒ですが、しっかりやれば長期間継続してキレイを長持ちします。また外壁や高所のガラスなどのメンテナンス費用の低減にもなります。特に「そらピュール」は可視光対応型ですので、室内の抗菌・抗ウィルスにも有効で、空気を浄化しキレイにする作用もあります。
    今後はお手入れやメンテナンスのサポート対応をし、これからの設計活動にも活かして行きたいと考えています。

  8. 建築家のコダワリ